グッドプラクティスGood practice

日本で実践されている国際共修は、海外のいわゆる「多文化クラス」とは少し異なります。
国際共修には様々なタイプがありますが、ここでは代表的な3つのタイプとその事例を紹介します。

授業科目名 : 日本文化を考えるー国際共修ゼミー

授業実践者 佐藤勢紀子(東北大学) 対象学生 30名 授業実施場所 教室
単位付与 あり(2単位) 実施期間 半年間 開講形態 教室
使用言語 日本語  

1.テーマ設定

コミュニケーションの諸相を知る。

2.教材

メイン・テキスト
泉子・K・メイナード『ていうか、やっぱり日本語だよね。』大修館書店,2009
サブ・テキスト
  • 金水敏編『役割語研究の地平』くろしお出版,2007
  • 日本語ジェンダー学会編『日本語とジェンダー』ひつじ書房,2006
  • 小林隆・澤村美幸『ものの言い方西東』岩波書店,2014
  • 野田尚史他編『日本語の配慮表現の多様性』くろしお出版,2014
  • 野村雅一『身ぶりとしぐさの人類学―身体がしめす社会の記憶―』中央公論社,1996

3.クラス運営に係る留意事項

 

4.課題の内容・頻度

第一ラウンド(メイン・テキストを使用)と第二ラウンド(サブ・テキストを使用)で1回ずつ、2人から5人程度のグループで発表する。
授業の中でも準備の時間をとるが、そのほかに教室外での準備が必要である。
毎週使用するテキスト(10~20ページ程度)をあらかじめ読んで内容をよく理解してくることが求められる。

5.評価方法

出席30%、発表30%、クラス活動参加20%、期末レポート20%

6.授業実践での留意点

  • コメント・シート(A3の用紙を二つ折りにしたもの)に毎回授業の感想、質問、担当者への連絡などを書いてもらい、授業終了時に回収。
  • コメントがなければ名前を書く。
  • 内容は匿名で次回共有する。
  • 同シートへの記入は成績に反映させないことを前もって伝える。
  • 各受講者に呼び名を決めてもらい、クラスではそれを用いる。
  • グループ替えを頻繁に行い、可能なかぎり多くのクラスメートと話す機会を作る。

7.国際共修における教員の教育理念や目標

毎回の発表やコメントから検討課題を引き出し、考えてもらうことで、受講者が常に問題意識を持ち、深く考え、そして自ら気づくように授業を進める。
クラス活動への積極的な関与を促すため、初回の授業で自分がクラスに貢献できることを考えてもらう。

8.授業で抱えている課題と課題改善への取り組み

課題1
人数が30名以上になると、発表への質問やクラス討論での意見が出にくい。
質問は少し待つと手が挙がることが多いので、焦らず待つ。また、発言したそうな受講者のサインを見逃さず指名する。まずグループで意見交換を行なって出た意見をメモしてもらい、内容をクラスで共有する。
課題2
グループワークの時間が足りない。
発表時間は1グループ15分であるが(1回に2グループが発表)、長くなることが多いので、時間管理をさらに徹底する。発表レジュメの中で読めばわかる部分は省略して発表してもらう。授業担当者による解説やコメントは必要最小限にとどめる。
課題3
日本人学生の数が少ない。(平成25年度)
以前は開講時間帯が5講時であったが、一部の学部で3、4講時が空いていることがわかったため、3講時に移した。その結果、平成25年度には日本人学生が4名であったのが、26年度は25名、27年度は15名になった。

9.受講者の反応/コメント

(平成27年度授業の発表レジュメ「一人一言」から)

留学生
他の国の人と一緒に発表を準備するのははじめてです。話をする時はやっぱり少し緊張します。幸いグループの皆は優しいです。グループの中でそれぞれの発想を交換し、お互いの意見を聞き取る。こうして発表の準備が順調に進めます。こういうチームワークはいい勉強になりました。
日本人学生
留学生の皆さんは日本語がとてもうまく今回のトピックである「ね」と「よ」も自然に使用できておりとても驚いた。私の拙い説明も一生懸命聞いて理解してくれようと努力してくれ、とても嬉しかった。また、彼らの方が事前準備を頑張っており、例文作成やパソコンの準備、レジュメ作成など積極的に行ってくれたおかげでスムーズに作業ができて本当に助かった。
日本人学生
留学生は分からないところを積極的に質問してくれたので、その姿勢を見習いたいと思った。
留学生
日本に来てから初めての発表だが、一緒に頑張ってくれる仲間がいるので、緊張や不安とかは感じなかった。発表を機にグループの仲間たちと仲良くなれたし、日本語についてもっと深く理解できたと思う。留学生の立場から言うのなら、日本人の学生さんと交流するときに、大切なのは表面に留まる会話ではなく、このようにある目標のため、長く関わり、コミュニケーションできる関係だと思う。だから、このような共同作業は大変貴重な体験だと思う。