グッドプラクティスGood practice

日本で実践されている国際共修は、海外のいわゆる「多文化クラス」とは少し異なります。
国際共修には様々なタイプがありますが、ここでは代表的な3つのタイプとその事例を紹介します。

授業科目名 : 宮城の伝統文化を通じた日本理解

授業実践者 島崎薫(東北大学) 対象学生 日本人学生、留学生合わせて60名まで
授業実施場所 教室・青葉山体育館・街中 単位付与 あり(2単位)
実施期間 半年間 開講形態 教室・体育館・屋外
使用言語 英語  

1.テーマ設定

仙台のすずめおどり、七夕(2016年度より実施予定)などについて実際に体験し、地域の人々と共に活動する中で日本文化、日本人、日本社会に対する理解を深める。

2.教材

使用しない。

3.クラス運営に係る留意事項

教師はあくまでも学びをデザインする役割を担い、地域から講師を招聘したり、地域の中での活動に学生たちが参加できるような手配をする。
すずめおどりが上手な留学生など、ロールモデルになるような学生がTAとして授業に参加し、学生同士で学び合える環境の構築も心がけている。

4.課題の内容・頻度

グループでの活動を多く取り入れ、グループで課題に取り組む(すずめおどり練習、プレゼンテーションなど)。

5.評価方法

出席点30%、グループプレゼンテーション40%、最終レポート30%

6.授業実践での留意点

ステレオタイプ的に日本文化を教える授業ではなく、実際に体験を通して学生が文化について考え、そこから他の学生とのディスカッションなどを通して学生がそれぞれ日本に対する理解を深められるような授業にする。

7.国際共修における教員の教育理念や目標

教師はあくまでも学習環境をデザインする役割に徹し、学生が理解を深められるような環境を整える。

8.授業で抱えている課題と課題改善への取り組み

課題1
履修希望者が多く、抽選にせざるを得ない。
改善のしようがない状態である。
課題2
授業開始から青葉まつりまで1ヶ月しかなく、土日も練習せざるを得ない状況で学生のモチベーションを保つことが困難である。
動画を見せたり、前年の写真を見せるなどして、学生がイメージを持ちやすい状態にしている。

授業科目名 : 日本の伝統文化を通じた日本理解

授業実践者 島崎薫(東北大学) 対象学生 日本人学生、留学生合わせて1クラス25名まで
授業実施場所 教室・学外施設
(柳生和紙工房、白石能楽堂、茶室六幽庵)
単位付与 あり(2単位)
実施期間 半年間 開講形態 教室、フィールドトリップ
使用言語 英語  

1.テーマ設定

焼き物、和紙、茶道、書道、華道など日本の伝統文化についてオムニバス式で学ぶ。
授業の形態は体験型で、自身の体験を振り返り、他の学生とディスカッションしながら、日本の伝統文化について学び、そこから日本文化、日本人、日本社会への理解を深める。

2.教材

使用しない。

3.クラス運営に係る留意事項

教師はあくまでも学びをデザインする役割を担い、それぞれの分野の専門家の講師を招聘したり、学生たちが実際に体験できるような環境づくりを行う。
学生同士で意見交換する時間などを積極的に設け、学生同士で学び合える環境の構築も心がけている。

4.課題の内容・頻度

グループでの活動を多く取り入れ、グループで課題に取り組む(プレゼンテーションなど)。

5.評価方法

出席点30%、宿題20%、グループプレゼンテーション20%、最終レポート30%

6.授業実践での留意点

ステレオタイプ的に日本文化を教える授業ではなく、実際に体験を通して学生が文化について考え、そこから他の学生とのディスカッションなどを通して学生がそれぞれ日本に対する理解を深められるような授業にすること。

7.国際共修における教員の教育理念や目標

教師はあくまでも学習環境をデザインする役割に徹し、学生が理解を深められるような環境を整えること。

8.授業で抱えている課題と課題改善への取り組み

課題1
履修希望者が多く、抽選にせざるを得ない。
改善のしようがない状態である。
課題2
学生の人数が多く、学生一人ひとりにどのような気づきがあり、学びにつながっているのかなど細かい部分が見られない。
最終レポートで学生の学びの変遷を垣間見ることができているが、オンタイムで見ることが難しい。

授業科目名 : 仙台の国際化推進プロジェクト :
留学生と共に地元百貨店に貢献しよう!

授業実践者 水松 巳奈(東北大学) 対象学生 全学部の留学生と日本人学生(人数制限なし)
授業実施場所 教室・屋外 単位付与 あり(2単位)
実施期間 半年間 開講形態 教室・屋外(地元百貨店や仙台市地下鉄など)
使用言語 英語  

1.テーマ設定

この授業では、地元百貨店の見学や百貨店で実際に働く方々とのインターアクションなどを通じて、近年増加傾向にある外国人観光客や外国人居住者に対応するために、地元百貨店では現状としてどのような対応をしていて、今後どのような対応をしていくべきか、を探っていく。
最終的には、グループごとに導き出した百貨店や仙台市への提案を行うことで、地域社会の国際化に貢献することを目指す。

2.教材

文献や担当教員が作成したワークシートなど、学生の関心や進捗に合わせて適宜配布する。

3.クラス運営に係る留意事項

プロジェクト推進型の授業であるため、第1回目オリエンテーション時に授業内での「グラウンドルール」を作成する。
国籍などに関係なく、学生同士がそれぞれの文化や考え方に理解を示しながらルール作成するので、その後スムースにグループ活動に取り組むことができる。
また、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを意識しながら、授業内で適宜振り返り等を行う。

4.課題の内容・頻度

振り返りレポート2回、グループ成果発表2回、フォトエスノグラフィーレポート1回

5.評価方法

出席(活動やディスカッションへの貢献度を含む)30%、課題(上記参照)30%、グループ成果発表(2回)40%

6.授業実践での留意点

授業ではあくまで学生が主役であるため、担当教員およびTAは、サポート役に徹する。
グループ活動で問題が発生すれば、グラウンドルールに立ち返らせ、できるだけ学生自ら考え、解決できる方向にもっていく。その代わり、提出されたレポートやプレゼンテーション発表には、学生一人一人に詳細なフィードバックをし、学生がそれぞれのペースで自信獲得やモチベーション維持できるように工夫している。

7.国際共修における教員の教育理念や目標

授業での異文化理解を促進するにあたり、学生が目につきやすい違い(国籍や人種など)だけでなく、同じ国同士、しいては自分の中の文化に気付けることを目指している。
そのため、学生同士が打ち解けやすい環境づくりを意識している。また、文化や言語の壁を越えて、一つのことを成し遂げたという達成感を味わう経験をしてもらう。

8.授業で抱えている課題と課題改善への取り組み

課題1
授業を開始するまで受講者数や、留学生と日本人学生のバランスがわからない。そのため、国籍や性別のバランスがとれたグループやペアを組むことが困難な場合がある。また、留学生は高学年、日本人学生は1年生が中心であるため、英語力や経験値、考え方に差がある。
教員主導のもとグループ分けを行う。また、ゲーム感覚で毎回異なるルールのもと、学生同士でグループ形成してもらう。
例)男女それぞれ最低1名、かつ留学生1名以上
課題2
地域の方々との共同作業を今以上に取り入れたいが、英語話者が少なく、活動が限られる。
地元で働いている方に対しても継続してこのような活動に関わっていただくことで、外国人や英語でのコミュニケーションに対する障壁を低くしてもらう。
課題3
グループごとに進度が異なるため、一つのクラスとしてまとめることが難しい。
毎回の授業終わりにその日の進捗状況を教員とTAが確認することで、過度の遅れをとるグループが出てくることを防ぐ。こうすることで、学生は毎回の授業での達成感と今後の課題が明確になり、次の授業への期待感を高めることができる。

授業科目名 : 国際合宿研修

授業実践者 松岡洋子・尾中夏美(岩手大学) 対象学生 定員26名
授業実施場所 青年の家等 単位付与 2単位
実施期間 毎年2月の約1週間 開講形態 青年の家等
使用言語 日本語、英語  

1.テーマ設定

「○○と持続可能な社会」をテーマに、地域と密接にかかわるグローバルなテーマ(エネルギー、食の安全性、農産物の適正価格、災害や防災など)について留学生と日本人が日英言語で講義を聴き、体験し、討論することを通じてグローバル人材基礎力を醸成するとともに、約1週間寝食を共にすることで国境を越えた人間のネットワークを構築する。

2.教材

必要な情報を適宜プリントで配布する。

3.クラス運営に係る留意事項

参加者には日英いずれかが堪能であることを求めているが、言語的な制約でグループ討議が滞った場合や方向性を見失った場合には教員が介入する。
討論には具体性を求めるため、表面的、安易な意見には突っ込みを入れて質向上を促す。

4.課題の内容・頻度

テーマに沿った事前課題を出す。研修中は講義や現地での体験を元に、国籍を混合したグループで課題解決に向けた討論を重ねる。
最終的にその成果を提言等にまとめ、日英両言語で口頭発表を行う。

5.評価方法

作業への参加態度(25%)、グループへの貢献度(25%)、作業課題(25%)、レポート(25%)

6.授業実践での留意点

全ての配布物、口頭での指示は日英両言語で行う。
参加学生の研修テーマへの理解が必ずしも深くないので、事前課題を出すとともに、テーマとする分野を専門とする教員の協力を得てワークショップや講義で研修の冒頭に知識注入する。
さらに、現状への理解を深めるために現場体験の機会を入れ、最後に学びを集約するための発表を行う。
ディスカッショングループは5名程度の小グループとし、言語、国籍バランスに配慮する。

7.国際共修における教員の教育理念や目標

課題解決のために言語をどのように使えばよいか、日本人学生にとって「英語を学ぶ」から「英語で何かを達成する」に意識が変わる研修としたい。
また、参加学生に課題を多面的に考えるスキルを身に着けさせたい。

8.授業で抱えている課題と課題改善への取り組み

課題1
2月実施としているが、学生が集中講義やインターンシップ、その他の都合で予定を確保しづらい。
できるだけ早い時期に開講のアナウンスを出すことにより、学生が予定を組みやすい環境を作る。
課題2
バス代等必要経費の捻出がますます困難になっている。
参加学生への参加費を増額するとともに、財源確保の工夫を行っている。
課題3
奨学金の採択数によって海外協定大学からの参加者が変動する。
交換留学生を加えることにより、一定の留学生数を確保するように努力している。